「ほぼパー」なカレーの恩返しカレー
前回の記事「ピエトロ「CHILLIES!(チリーズ)」が、王者タバスコに挑むという暴挙に出た結果…」の中で、ほぼ日「カレーの恩返しカレー」を、ピエトロ「CHILLIES!(チリーズ)」で追い辛してみました。
というのも。
前々から「辛くないカレーの中に名品が多い」と思っていたのですが、その代表が「カレーの恩返しカレー」。レトルトカレー好きの中にはご存知の方も多いと思いますが、あの糸井重里さん率いる「ほぼ日」が作ったこのカレー。
そもそもは「カレーの恩返し」というご家庭で作ったカレーに後がけするスパイスから始まって、その後発売された「カレーの恩返し」を使ったレトルトカレーが「カレーの恩返しカレー」。
糸井さんやスタッフの方々が「本当に食べたいカレーを作った」というだけに、挽いた粒子の大きさにまでこだわったというスパイスは繊細で複雑な香りを放ち、サラッとしつつもザラっとした粒子感のある舌触りが楽しくて魅惑的。
そこにたくさんのすりおろし野菜と煮込んだチキンの旨味が加わり、本格的だけど他にどこにもない「ほぼ日」ならぬ「ほぼパー」なカレーなんです。
「ほぼパー」すなわち「ほぼパーフェクト」なんです、筆者にとって。
なぜ「ほぼ」か。
そう、辛さがほとんどないのです。「誰にでも食べれるように」と、あえて辛味をほとんど入れなかったそうで。そのコンセプトはもちろん理解できます。
だけど、筆者の本能が叫びます。
「ああ、辛い『カレーの恩返しカレー』が食べてみたい!」と。
そんなことしたら、これを開発した糸井さんやスタッフの方々は苦笑いするだろうか。ひょっとしたら嫌われるだろうか。
いやしかし!ここは辛メーター。同じように思っている人は少なくないはず。禁断のタブーをあえて冒すことを、お許しください。
辛さだけをアップできるのか🧐
それにしても、いったいどんな辛味調味料を使えば、カレーの恩返しカレーの独特の魅力・持ち味・風味を壊さずに辛さだけをアップできるのだろうか。
そこに、2023年春、ピエトロからCHILLIES!(チリーズ)が発売された。
この辛味調味料は、前の記事でたくさん実験して詳しく述べていますが、繊細なメニューも味を変えずに、いやむしろ昆布茶の旨味で旨味ブーストしながら辛さだけを持ち上げてくれる。しかもCHILLIES!(チリーズ)自体が2.5KMほどの辛さなので、けっこう辛くもできる。
ちなみに、筆者のマイ辛値は1.89KM。ちょうど辛ラーメン(カップ)と同じくらい。どうせだったら『マイ辛』のカレーの恩返しカレーを食べてみたい。この欲望をついに叶える時が来たのだ!
実食!
このレトルトカレーには、やるべき儀式がある。
レンジや湯煎ではなく、フライパンで温めるのだ(もちろんレトルトパウチから出してくださいね)。
直接火にかけることで、香りが開くのだ。ぜひやってみてください。
さあ、いよいよ実食。
まずはCHILLIES!(チリーズ)かけずに、そのままのカレーの恩返しカレーを楽しもう。一口。
「旨いねえ。これこれ、複雑で華やかな香り。サラサラしてて、ザラザラしてて、口触りも楽しいなあ」
このまま食べてしまいたい気持ちを抑えて、CHILLIES!(チリーズ)をかけていきましょう。
1滴、2滴、3滴・・・・・・
慎重に数えながら、一度にたくさん入らないように1滴1滴落としていく。
そして10滴。これで塩分量は0.017gだ(前回の記事で、CHILLIES!(チリーズ)やタバスコの塩分量のことも研究していますので、ぜひお読みください)。
少なくとも、塩分でカレーの恩返しカレーの味を損なうことはないだろう。ルーとCHILLIES!(チリーズ)をよくかき混ぜて、いただきます!
CHILLIES!(チリーズ)10滴だと、最初はさすがに辛さに気付かない。
だが探しているとすぐに辛さが現れる。「お!CHILLIES!(チリーズ)効いてるねえ」辛さは1.0KMほどか。
10滴でも最終的には結構効いている。だが、まだまだ序の口、もっと行ってみよう。なにしろ目標はマイ辛の1.89KMだ。
20滴。
うんうん、良き辛さになってきた。割とパクッと行ってからすぐに辛さと対面できる。1.4KMほど。
まだまだカレーの恩返しカレー感、スパイスの複雑で繊細な感じを十分に楽しみつつ、辛さもやっと本格的に良きかなで、◎🙆♂️
それにしても、CHILLIES!(チリーズ)による辛さの上がり方って、最初はマイルド。
最初のアタックがマイルドだが、途中でジワッとというよりグワッと立ち上がり、スッと引いていく。カレーの恩返しカレーの華やかで繊細な風味を殺さずに、辛さだけを引き上げてくれる。
正直、筆者にとっては、CHILLIES!(チリーズ)によって辛さを増したカレーの恩返しカレーは、ノーマルよりもグッと満足感が高い。
これは旨いなあ、好きだなあ。
カレーの恩返しカレーとCHILLIES!(チリーズ)、最高の相棒、カップルかもしれないぞ!さあ、さらにその先へ!
30滴。
おお!いいね、うん!1.5KMくらいにはなってきたぞ・・・(3口4口と食べ)いや、これはマイ辛近くになってきたぞ!1.7KMくらいまで行ったか!?・・・・・・
だが。しかし。ここで異変が。
なんだかスパイスの細かい表情が消え始めた気がする。たくさんのスパイスの風味が複雑に絡み合っていたのに、上の方にいる軽くて繊細な香りが感じられなくなってきた。
一応、このままどんどん辛さを上げていく。
50滴。
辛さに関しては、ほぼマイ辛の1.85KMくらいにはなったようだ。
さらに50滴、合計100滴。
辛さに関しては、2KMに到達しただろうか。
200滴。(塩分量は0.34g)
辛さに関しては、2.2KMか2.3KMくらいはありそうだ。ほぼ、CHILLIES!(チリーズ)本来の辛さだ。
ただ。
これはもはや、カレーの恩返しカレーではない。
上の方にある軽くて繊細な香りから順番に消えていき、そうなると1番最後まで残るのは実は苦味だったりする。ちなみにこの症状(繊細な香りを感じなくなる)は、しばらく不可逆で、もう一度CHILLIES!(チリーズ)無しから食べてみても、もう戻れなくなっていた(しっかり時間を置いたら戻ったが)。
まとめ
CHILLIES!(チリーズ)は、とても繊細な辛味調味料である。
どんな料理もそっと支えてその持ち味を活かしながら、辛さだけを上げてくれる。
そんな繊細なCHILLIES!(チリーズ)と、繊細なカレーの恩返しカレー。この組み合わせは、「最高の相棒」「最高のカップル」だと思う。
だけど、どんな最高のカップルでも、いくら相性が良くても、やはりお互いを思いやるデリカシーが大切なわけで。繊細なものどうしであっても、やはり行き過ぎは良くないということだ。当たり前のことだ。そりゃまあ、なんとなくは分かっていたんですが。
お互いを引き立て合える「適量」を探したい。CHILLIES!(チリーズ)なら、少しずつかけてそれを探す楽しみ方もできる。
結論!!筆者の好みは、CHILLIES!(チリーズ)25滴でおよそ1.5KMまで辛さを引き上げたカレーの恩返しカレーが最高でした!!
ここで、ちまたの旨辛・激辛メニューを取材していると、「旨くて辛い」の難しさと戦っているシェフたちに出会う。旨さを保ちながら辛さを上げていくのは、実に難しい。
旨さがある時点から負けて引っ込んでしまう。辛さが立ちはだかり、旨さに辿り着けなくなるのだ。
お互いを引き立て合える「適量」を探したい。CHILLIES!(チリーズ)なら、少しずつかけてそれを探す楽しみ方もできる。
みんなそこに苦戦している。
だが、その絶妙なバランスに到達した時、辛さは旨さを引き立てる最高の相棒となる。
それを求めて、日夜努力を惜しまず研究・開発に励む旨辛の料理人や開発者の皆様に、あらためて敬意🫡を表したくなる、そんな今回の実験でした。
おまけ
「カレーの恩返しカレー」の元になっているのは、「カレーの恩返し」というスパイスミックス。
これを使った料理にもCHILLIES!(チリーズ)を入れてみた。
薄味に作ったシンプルなポトフに「カレーの恩返し」を入れてみる。
「カレー5〜6皿分に1袋(40g)」と書いてあるので、この分量のポトフにカレーの恩返しを5g入れてみる。5gってまあまあな量ですね。
まずはCHILLIES!(チリーズ)無しで。
ホールのピンクペッパーがかわいい。まるで、子ども用入浴剤みたいに、プカっと浮いてくる。
ここまで、カレーの恩返しカレーの香りを「華やか」「繊細」などと書いてきましたが、もっと具体的に説明するなら、どこか「仏教的な香り」を感じますww
お寺の香り?線香?お香?にどこか通じる香りと申しましょうか。スパイスって、お香にも使われてたりもしますからね。
ポトフにCHILLIES!(チリーズ)25滴
ポトフにカレーの恩返しだけでもすごく旨くて好きなんですが、ここにCHILLIES!(チリーズ)を25滴入れる。
すると、分かりやすいカレー料理になる。やっぱり記憶の中にカレー=辛いって刷り込まれてるからでしょうね。
10滴でも、品の良い辛さ。
ベストバランスは意外と10滴くらいなのかも。
30滴くらいまでなら「カレーの恩返し感」を楽しめる。それでだいたい1.6KMくらい。
みなさんもこんな風に、「カレーの恩返しカレー」と「CHILLIES!(チリーズ)」の組み合わせ、色々と楽しんでみてはいかがですか😃?
(文責/辛メーター運営)