辛さで
しぼる

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モトキ編集長

3.49KMモトキ編集長

有名系列店1号店の看板メニュー「陳麻飯」のシンプルでスピーディな“いさぎよさ”👨‍🍳🍛👩‍🍳💨

有名系列店1号店の看板メニュー「陳麻飯」のシンプルでスピーディな“いさぎよさ”👨‍🍳🍛👩‍🍳💨

陳麻家(五反田東口駅前店)陳麻飯(税込700円)

1.15KM(辛ジャッジ:元木哲三3.57KM)

お客を誘い込む常套句👲🗯

私、辛メーターWEB編集長「元木」は、辛い料理を愛していると公言しながら、恥を忍んで告白すれば、『陳麻家』を訪れるのは、この日が初めてだった。言わずと知れた、東京を中心に複数店を展開する有名チェーン。その存在はずっと気になっていた。とくに、「1号店」と明記してある、ここ「五反田東口駅前店」の前を通るたびに、「一度は入ってみたい」と憧れていたのだ。

駅前の歩道橋を歩く者に圧倒的存在感で迫ってくる。麻の発音は「MAR」だったのか。
駅前の歩道橋を歩く者に圧倒的存在感で迫ってくる。麻の発音は「MAR」だったのか。

驟雨に煙る水曜日の昼過ぎ。はやる気持ちを抑えて、店舗の外観を撮影していると、いきなり開くべきではないほうのドアがガラリと開き、顔を出した白髪頭の男性と目が合う。

店員、いや、年齢から言って店長だろうか。「辛いの、食べられるんだったら」と声を掛けられ、思わず「はい」と頷いてしまった。どうだろう、なかなか巧みな誘い文句である。

看板や張り紙がやたらと多い店が、ぼくは好きだ。
看板や張り紙がやたらと多い店が、ぼくは好きだ。

カウンター9席のみ。狭い。店長(もう、そう呼ぶことに決めた)の他に、ぽっちゃりした外国人女性が調理を担当する。

目に映るもの、すべてに年季がはいっている。なんだか落ち着く。
目に映るもの、すべてに年季がはいっている。なんだか落ち着く。

客はぼくを含めて4人。「雨とはいえランチタイムにしては少ないな」と思ったが、その理由は、この後、すぐに明らかになる。

この狭さが男たちの母体回帰本能をくすぐるのかもしれない。
この狭さが男たちの母体回帰本能をくすぐるのかもしれない。

驚異の提供スピード⏱

座る席を決めたぼくの前に店長はコップの水を置きながら、「今日の日替わりはナス」と言う。簡潔である。卓上のメニューを見る。日替わりランチの『ナス陳麻飯』はザーサイとスープがついて780円間違いなくお得だが、やはりスタンダードを食べておくべきだろうと、「陳麻飯(チンマーハン)を」と注文する。

白髪の店長「はい、並、ひとつ」

調理担当へ一言。やはり簡潔である。 そして、ほぼ同時にカウンターに「コン」とコーンスープが置かれる。

白髪の店長「サービス」

セリフは常に短い。「あ、ども」などと言いながら、上着を脱いで、壁のハンガーに掛けていると、背中に「どうぞ」という店長のひと声。振り返ると、そこにはすでに看板メニュー「陳麻飯」が。

そうなのだ。丸椅子に腰掛ける前にやってきたのである。その間、

約20秒💨

これだ、これが「陳麻飯」だ。もう何も考えずにガンガン行こう
これだ、これが「陳麻飯」だ。もう何も考えずにガンガン行こう

ぼくの飲食人生においても、これはおそらく最速だ。福岡で生まれ育った者にとって、あっという間に茹であがる「長浜ラーメン」よりも速いというのは、もうそれだけで、崇める対象なのである。なんという高速提供。いやはや、思わず戸惑うほどのスピードである。

念願の....辛ジャッジ🤳

「陳麻飯」はご飯に麻婆豆腐がかかった料理である。一般には「麻婆飯」とか「麻婆丼」と表記している店が多いが、そこにオリジナルのネーミングを施したことに、店のプライドが見て取れる。

いざ、実食。なるほど、2003年のオープン当時は、この花椒のシビれは相当に強力だったろう。ただ、近年、日本人もこの「麻」の味に慣れてきた。唐辛子の辛味である「辣」もほどよい塩梅で、2019年現在の感覚で言うならば、実に食べやすい辛さである。

ぼくの辛ジャッジは

1.15KM

もうね、ちょうどいいのです。よく考えられた、計算された辛さ。

温度にも言及しておこう。麻婆豆腐は熱いものと相場が決まっている、ハフハフ必至のメニューだが、陳麻飯は、これまた、ほどよい熱さなので、すいすいと口に、そして胃袋へと入っていく。もぐもぐ、すいすい。いや、待て。ちょっと落ち着こう。

辛味噌での変化も楽しめる

卓上にはラー油花椒があるから、辛さは自由に調整できる。壺に入った辛味噌を投入すると、一気に中国の現地感が増す。甘酸っぱくて、独特の香辛料が効いていて、もちろん辛味もアップする。

この独特の味と香りの辛味噌が、いや、なんとも、後をひく。
この独特の味と香りの辛味噌が、いや、なんとも、後をひく。

これはオススメだ。他にフライドガーリックと、ネギが置いてある。少しずつ味を変えながら、食べ進める。

行き違う店長とお客 👀💬

「マーボーハン、大盛り!」という、50代後半のビジネスマンの注文に、店長は「チンマーハンですよ」と訂正するでもなく、静かに頷き、「大盛り、一丁」と声を出す。プライドは心に秘め、ひけらかさないのが店長流、ということだろう。

次に入ってきたお客は「俺、唐揚げナンバーワン、ちょうだい」と言った。店長は無言のまま訝しげに初老の男を見つめる。「えっと、ほら、ナンバーワン、表に書いてあったやつ」。店長は軽く頷いて「唐揚げ、並」と注文を通した。そうか、確か、看板に「唐揚げ陳麻飯 人気No.1」と書いてあったな。

これを見ちゃったんだな。フフフ。
これを見ちゃったんだな。フフフ。

そんな店長の優れた推理力に「辛シビ探偵」の称号を与えよう。まあ、受け取ってはもらえないだろうけれど。

シンプルだからこそ愛される💖😋💯

この店、メニューは6種類で、基本的に「陳麻飯」一本と驚くほどシンプルだ。だのに、「意外と行き違いって起きるものなのだなあ」などと考えていたら、ああ、もう最後の一口である。食べるのにかかった時間、およそ5分。店が混雑しない所以である。

お客はただ食べることに集中し、さっと出て行く。果たして、ぼくもその流れに、無意識のうちに乗ってしまったのだろう。店長の「ありがとうございました」を受けながら外に出ると、もはや、5分20秒が夢の中の出来事だったように思える。

短い戦いだったが、なんというか、この店には物語があった。そしてロングセラーである「陳麻飯」は、実にシンプルで潔い料理であった。、正直、もっと主張してくると思っていたが、意外にも控えめだった。辛いし、しびれるし、醬(ジャン)の味わいもある。でも、なんというか、さっぱりしているのである。だから、自分の味にカスタマイズする楽しみがあるし、きっとまた食べたくなるのだろう。さらに言えば、この独特の空間と、必要な言葉しか発しない店長が癖になって、ぼくは再びここに戻ってきてしまうのであろう。

おそるべし、陳麻家1号店。まいったぞ、陳麻飯。近いうちに、また、会おう。

本文とは関係ないが、この文章のスイングぶりは、いったいなんなんだ。ぼくにはとうてい書けない。
本文とは関係ないが、この文章のスイングぶりは、いったいなんなんだ。ぼくにはとうてい書けない。

(追記)陳麻家は店によってメニューが大きく異なり、いや、異なるというか、もうそれはそれは楽しみ方もまったく違うということで、だから、ぼくの「陳麻家」行脚は、これからもたぶんずっと続くのだ。

あと、もうひとつ余談だが、カウンターの上に等間隔で置かれていた、この「ゴミ入れ」なるタッパーには、みんな何を入れるの🤔だろうか。

陳麻家 五反田東口駅前店

[文・撮影/編集部・モトキ編集長]

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