辛メーターマガジン編集部の🌰くりしん🌰です。告白します。この”辛業界”に入って年月はだいぶん経ちますが「麻辣(マーラー)」について、知ったかぶりをしたまま生きてきました。痺れの麻(マー)は中国の山椒、辛さの辣(ラー)は唐辛子のことでしょ?ぐらい...何となく「麻辣」について、それ程度の知識で誤魔化して生きてきたんです。いま風に、端的に言えば「シビカラ」ですな。
本屋で立ち読みして調べてみた
たぶん世の中の多くの日本人の”痺れデビュー”は「四川麻婆豆腐」か「四川担担麺」を食べた瞬間じゃないでしょうか。そう、中国の四川省が「麻辣」発祥の地なんです。横山光輝のマンガ『三国志』でいえば、劉備玄徳の「蜀」が都を置いた「成都」が四川省の中心地。
四川では正しくは「麻辣味」(マーラーウェイ)と言って、いわゆる五味に足される「辛味」として古くから認識されているそうなんです。「古く」とは言っても、その歴史はいまから遡ること300年ぐらいなんだってさ。
現地では厳密には「麻味(まみ)」「辣味(らつみ)」に分けられそう
です。「辣味」のベースとなるのは、こちらも四川発祥の発酵調味料「豆板醤」(トウバンジャン)。日本でも「四川飯店」の創業者・陳健民さんのおかげで昭和の頃からメジャーになった調味料ですな。ならば「麻味」の正体は何か。それは「花椒」です。
花椒の読み方は?ホアジャー?ホワジャオ?
花椒。これがなかなか厄介なんです。まずね、なんて読めばいいのか。
ほらね、スパイス売り場の商品を見ても、なかなか答えが書かれていない。
日本語的には「かしょう」とか「はなしょう」
確実に「はましょう」ではない。歌わない。
中国語ではどう発音するのか。訊けば「ホアジャオ」と言う人もいれば「ホワジャー」と言う人もいる。北京語だったり、広東語だったり、するのかもしれない。
そして伝わりにくい。つい最近、四川料理をウリにする大衆中華で中国人スタッフを呼び止めて「フォアジャオ、モア、プリーズ」と麻婆豆腐の皿を指差し下唇を噛みながらお願いしたけど、何も起こらず、何も変わらなかった。伝票に漢字で書けば伝わったのだろうか。
いま何よりも面倒なのは「花椒」は「とうばんじゃん」のように「ほあじゃお」や「かしょう」とタイプしても漢字変換されないこと。毎回、単語登録しようと思いながらコピペしている。
『大辞林』によれば、「花椒塩」=ホワジャオ イエン」
で、手元にある日本語の辞書『大辞林』を開いてみた。「花椒」の掲載はないが「花椒塩」があった。読み方はカタカナで「ホワジャオ イエン」。大辞林さん、だいじょうぶですか?現地で伝わりますか?
ニッポンのみなさんは、花椒=「かしょう・ホワジャオ」で!
花椒については「かしょう」「ホワジャオ」と読みましょう、呼びましょう、ニッポンのみなさん! いや、やっぱり豆板醤は「とうばんしょう」ではなく、あたり前のように「トウバンジャン」と読んで、呼んでいるニッポンの21世紀を考えれば、花椒は「ホワジャオ」に決定しましょー。
まず我々が目指すのは「ホワジャオ」とタイプすればと「花椒」とイッパツで漢字変換される環境を創りだすこと。一太郎のシステムソフトさんか、ATOKさんか、グーグルさんか、どこにお願いすればいいかわかりません。が、担当者はおそらく日本人でしょうから、なにとぞ、辛メーター、いや、ニッポンのために、よろしくおねがいします。
そもそも、痺れる原因って?花椒と山椒の違いは?
花椒は、日本の山椒と同じく「ミカン科・サンショウ属」だけど果実の種類が違う。さらに果実を全て粉末にする日本の山椒とは違い、果皮だけを乾燥させて使うだってさ。日本の山椒と大きく違うのはやっぱり、あの「痺れ」ですよね。
調べてみると「サンショウ属」には「サンショオール」と言う製薬会社がネーミングした薬みたいな名前の成分が含まれているのが「属」の分かれ目なんですって。サンショオールは整腸作用や内臓の粘膜強化が期待できるとか、できないとか。
で、我らが「ホワジャオ」。唇や舌の痺れ=麻痺を起こす成分「キサントキシン」がたくさん含まれています。魚のエサに「花椒」を混ぜると強いケイレンを引き起こしてしまうとか。動物にはほぼ影響がなく、ちょっと麻酔にかかっているようなあの「痺れ」を生むそうです、はい。
麻とは、辛さなのか。辣が痺れを倍増させるのか
2018年ぐらいから日本で「火鍋」はブームですよね。そのまさに火付け役は「四川麻辣火鍋」。いまでは当たり前のように提供する中華料理店もどんどん増えてる。辛メーターでも辛ジャッジが全国から数多く寄せられています。
みなさま、本当にすみません。再び、告白します。
いわゆる「麻辣」系の料理を辛ジャッジするときに「むむむっ」といつも「悩む」のです🤔
痺れ=麻は、辛さなのか。麻そのものに辛さはあるのか。
やはり、どこまでいっても唐辛子系の辛さ=辣が、辛さを支配するのか。
味の素KK「麻辣火鍋」🍲を辛ジャッジ🤳
昨日、Amazonでゲットした味の素KK「麻辣火鍋」。
6種の具材入りは嬉しい。湯煎で6分、電子レンジなら600Wで2分半。なんという人生のショートカットだろう。
チン!せっかくなんで鍋にあけて食べよう。せっかくなんでちょっとガスコンロで追い焚きしたりして。
おやまあ、ゴイゴイスーですよ。レンコンにタケノコ、大根、きくらげ、牛肉にシラタキまで入ってます。では、いただきまーす。うんうん、大ぶりなカットのレンコンにも絶妙な歯応えが残してある。ステキやん。で、ズズッとスープをね。おお、けっこう辛いけど、何よりも鼻に抜ける清涼感が印象的だね。あ、きたよ、きたきた「ビリッ!&ボワワーン」の痺れが。
コレだ、この痺れを辛ジャッジにどう反映するか。オイラの舌と脳ミソで「麻」と「辣」を別々に分析できるのか。
1+1=2でない「麻」と「辣」の関係
そもそも、別々に分析するものなのか。少なくとも「麻」と「辣」の関係は1+1=2ではない気がする。オジサンはね、なんとなーく気がついてます。「麻」と「辣」は、お互いに何らかの影響をもたらしている正体不明のアヤシイ関係なのだ。だから、悩む。うーん、あー、うーん。食べすすめると”てっぺん禿頭”に汗がじんわり。
うーん、2.62KMだな🤳
- 味の素KK麻辣火鍋
2.62KM (辛ジャッジ:くりしん 4.19KM)
「麻」抜きの「辣火鍋」を作ってみた
わだかまりが残った。「麻」と「辣」のアヤシイ関係について見て見ぬふり。テキトーな関係のまま、ダラダラと続けては絶対にダメだ。そこで思い立った。「辣火鍋」をつくって「麻」を加えていったらKM値は増していくのか⁉️
味の素KK「麻辣火鍋」のスペックをパシャリと撮って買い物に走った。
でーん。
まずは胡麻油で豆板醤を炒めてからの牛肉を投入。しょうが&にんにくペースト、さらには老酒を追加して炒めましたー。
んで、具もこれぐらいかなーと並べてみる。
そこにお湯を適量加えてビーフコンソメの素をポトリと。
5分ぐらい煮立たせて”味の素KK麻辣火鍋”(写真左)と見くらべ、味くらべ。
2.5KM🤳
これを基準値としよう。さあ、ここからが本番ですよ、みなさん。
🌺花椒を3粒追加
そして待つこと5分。スープを啜ってみる。辛さが勝り、ほぼほぼホワジャオは感じない。
うーむ。辛さに変化はあるのだろうか。
うーむ。
辛ジャッジは2.5KMステイで🤳
ならば、と、もう3粒足す。そして5分。だいぶん具材にもスープが染みてきた。
ズズズーッ。
ほうほう、なんとなくマーが顔を出してきた。辛さは変わっていないはずなんだけど、うーん、これはちょっとKM値がアップした気がする。でも2.6KMまではほど遠い。
少し上がって、2.53KMぐらいかな🤳
🌺花椒、合計9粒追加するも!?
もう3粒と5分。合計で9粒入ればかなり違うだろうよ。煮立たせないように気をつけるのがポイントだな、たぶん。
フーフー、ズズズッ。
うん?あれ?あんまりというか、ほぼ変わってない気がするなぁ。3粒足したぐらいじゃあんまり劇的な変化はないのか、やっぱり。
2.62KMまで到達させるためには、キミ全然足りないよ、ホワジャオ君。ええいっ!10粒じゃ、10粒プラスじゃー。
で、待つこと10分。ここまで買い物と調理も含めると、ゆうに2時間は超えている。さあ、これで完成だろう、KM値はぐーんとアップするに決まっている。喰らうど〜!
やっぱり続く「麻」と「辣」のアヤシイ関係
ズズズズッ。
おー、無計画なわりには、けっこうイイセンいったな、こりゃ。2.62KMには到達した気がする。ちょっと”味の素KK麻辣火鍋”の味を確かめてみよう。
うーん、なんだろう。「痺れ」プラス鼻腔を突き抜ける清涼感があるんだよなぁ。これにくらべると、まだ少し「麻」が足りない気がする。ここは3粒投入で刻むか。
さてさて、またもや待つこと5分。啜ってはみたものの、あんまりKM値に変化が感じられない。うーん、もう3粒追加で合計25粒でいってみよー。
🌺花椒、合計25粒追加で見えた景色
あれー、なんだろう。イイセンから6粒も追加したのにKM値は変わらない気がする。すでに唇と舌が「痺れ」でバカになっているのだろうか。もしかすると「足しマー」は、ある一定の量を超えると「痺れ」は最大値に到達してしまうのかも。その結果、KM値に影響しなくなるのかもしれない。
つまり、今回の実験結果で例えると、2.5KMの「ラー」は「マー」とのアヤシイ関係性を持つことで2.62KMぐらいまでは引き上げることができた。それが最大値だと仮定するならば、5%ぐらいのKM値アップが認められる。
2.5KM x 105% = 2.625KM
シビカラ麻辣研究所としては、「マーラー105%アップ理論」を提唱したい😇
ということは「ラー」と「マー」のアヤシイ関係は1x105%、2x105%、3x105%という「マーラー105%アップ理論」で証明できるのではなかろうか!えらいぞ、くりしん!世界的な大発見だ!間違いなくノーベル化学賞ものだぞ!
なーんてね、妄想が暴走しちゃいました。すみません、ぜーんぶキレイに忘れてください。
「マー」は「ラー」をある程度までは増幅する!しかし、アヤシイ関係🕵️♀️
やっぱり「マー」を足していけば「ラー」の辛さを増幅するような効用はあるんでしょうね。となると「麻」x「辣」= KM値。ただ掛け合わせるうえでは、この「麻」と「辣」は定数ではなく、2つとも変数ということ。となると明らかに「マーラー105%アップ理論」は成立しない。もしかすると変数の最小公倍数みたいなかもしれませんね。うーむ。
ただ1000粒「足しマー」したとしても5.0KMには達しない気がするなぁ。本当に1+1=2にはならないのだろうか。
うーんと、結論としてはですね、いまだにアヤシイ関係はアヤシイまま。すみません、まだみなさんの「悩み」も続きますね。どうしよう、次の実験は。どなたかヒントやアドバイスを編集部までお寄せください。
今回、唯一答えが出たのは、香辛料のアマチュアでは商品化できるような絶妙な「マーラーバランス」は生み出せないということ。食品メーカーに最敬礼である。
改めて味わおう”味の素KK麻辣火鍋”の素晴らしさを。
うおーーーっ!なんだ!見たこともない、このぷっくり丸々とした花椒は!!
おっと、コーフンのあまり忘れるところだった。やっぱり「麻辣火鍋」なら手軽だし本格的だし、買うに限る。
- 味の素KK麻辣火鍋
2.62KM (辛ジャッジ:くりしん 4.19KM)
【つづく】